悪の法則をみました。
評価がわかれる映画だときいてはいましたが、私の感想としては《決してふれることはないのだろうが、ふれていないであろう世界はいつも隣り合わせにあったりもする》んだなという感覚をビリビリと教えてくれた映画だと感じました。
ネタバレ無しで感想を。
恐怖というものは過去からやって来る
これはジョジョ奇妙な冒険の名台詞のひとつです。
が、作品のテーマにそったような、ピッタリとピースがはまる感じがしてこの言葉が頭をよぎりました。
私はいつも過去にとらわれないようにと思いながら生きています。
いつも反復していると言うことは逆をとらえると己が過去にとらわれているとも言えるわけです。事実、私は何が因果か過去の選択に対して不意に思い出して歯を食いしばることがあります。
さて、本作の主人公は冒頭から選択を迫られます。
幾つもの選択を選び続けてラストまで向かうのですが、向かう途中の一見すると物静かな、しかしながら不穏の音が聴こえるかのシーンの一つ一つが静かに迫り来るジェットコースターのようなものなのです。
迫り来るジェットコースターの瞬間って、人生の幾つもの時間で訪れませんか?
昨日の自分が明日ある保証なんてどこにもなく、今日の幸せが明日あるかなんてわかるはずもない。
その不確定な要素をつかさどるいくつかのパーツは、時として己の選択から外れた場所からやってくるのです。
過去の選択。
そう、恐怖というものは過去からやってきます。
幸も不幸も喜怒哀楽もすべての因果は自己の世界であり自己以外の世界でもある
選んだ選択のすべての因果が自己の選択によってのみ結果としてあらわれるのでしょうか?
決してそんなはずはないですよね。
自己以外の干渉がある瞬間から選択の答えは無限の可能性を持って自己に還ってきます。
それが幸せのベルの音なのか不幸の通達なのか、余地もできません。
それどころか還ってきた変化(不変にみえる現象もふくめて)がすでに他の因果もひきつれてやってきていると気が付かない内に起承転結の《起》がはじまっていることすら。
思い出したのが悟りのおはなし。
悟りにも諸説あるため完全な答えなんかないと思いますが、過去に読んだ本に
ブッダは悟りをひらいたのだが他者に教えることは出来ないと答えたそうです。必至に全員に悟りを教えたいとのことで最終的に悟りを伝えたとの事なのですが、なぜに悟りを他者に教えることは不可能だとブッダは答えたのでしょう?
きっとそれは悟りの思想に自己以外が介入することで不確定となってしまうことがあり、それでは答えと言えないから、悟りは他者に教えることが出来なかったのでしょう(最終的に教えてしまったので初期の悟りからは変質したものだと考えられる)
話がちょっとそれましたが、つまるところ未来なんて読めるわけもなく他者と常に関わり続ける生き方をしている以上幸も不幸も不条理も理不尽も受け続ける。というわけです。
ものすごく哲学的なはなしで映画の内容ではないんじゃないかと思われるでしょうが悪の法則はこういったまったく意図しない他者が介入してくるという概念のおはなしを一つの悪をストーリーに混ぜながら伝える映画なのだと思います。
学べる事はあるようでないようであったりする
主人公は悪の道に進む選択を続けた結果としてとんでもない目にあうことになります。
ストーリーは悪の道にそっていくのです。ゆえに教訓として悪いことはしちゃいけないな。ってことになりそうなものですがこの作品はもっと大きなテーマを内包しています。
どんな選択肢にも必ず因果がついてまわるよ。
ってことではないでしょうか。
それがまったく善悪と関係のないベクトルに進んでいようとも、自己以外のものさしで測った場合それは悪であったり善であったり。もっといえばまったく感情が起こらないところで極悪な出来事や不可避な最悪のシナリオがすすんでいたりするのです。
2時間で教えてもらえるおなはしは想像を絶します。
R-15なためファミリー向けでもなく間接的な性的描写もあったりするため苦手な人は注意が必要です。が、悪の法則という名の世界のサイクルを映画から追体験するという意味でオススメです。
哲学的なおはなしが好きな人ならば、心にどしっとくるものがあるでしょう。
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